今までも、これからも。『縁を大切に。』生きる。——— 佐藤一輝さん(弘前大学)
- Humans of Hirosaki
- 2019年5月28日
- 読了時間: 6分
更新日:2019年6月2日

弘前で活躍する若者たちの「生き方」を紹介する『Humans of Hirosaki』。記念すべき第一回目のゲストは、弘前大学理工学部自然エネルギー学科1年の佐藤一輝(さとうかずき)さんです。
福島県いわき市出身。大学1年生でありながら、再生可能エネルギーに興味があり、今後の日本のエネルギー問題について考えている佐藤さんに、その「生き方」を取材しました。
【Ⅰ.叶えたい目標に向かって、福島から青森へ。】
———なぜ弘前大学へ?
「最初は、金沢大学を志望していました。そこでエネルギーについて勉強したかったんですけど、センター試験でちょっと躓いてしまって…。防衛大学が受かっていたので、そちらに進学しようとしたのですが、『自分にやりたいことって何だろう。自分にできることって何だろう。ほかの人にできないことって何だろう。』と考えたときに、今までの経験から再生可能エネルギーについて勉強することかな。と思い、それについて勉強できる大学を探していたところ、この弘前大学自然エネルギー学科を見つけ、進学することに決めました。」

〔写真:高校3年生の文化祭では『物理器具を用いたピタゴラスイッチ』で校長賞を受賞!〕
———「再生可能エネルギー」に興味があるんですね。
「はい!具体的には、地産地消型発電とまちづくりに興味があります!中央集権的な発電に代わる再生可能エネルギーを使った地方分散型発電、そして資源の少ない日本でもできる発電を、具体的に提案することが目標です!」
【Ⅱ.人生の転機―「放射線」から「再生可能エネルギー」へ】
———『再生可能エネルギー』について興味を持ったきっかけは何ですか?
「震災・原発事故です。僕は小学校四年生の時に東日本大震災を経験し、僕の住んでいた福島県いわき市は、津波と原発事故で甚大な被害を受けました。
放射線の影響を軽減するため、小学4年~中学1年の夏休みと冬休みの期間、家族で北海道に避難をしていました。そこで、診療所の先生で且つ放射線について研究している安藤先生に出会い、放射線に関する知識や被ばくの影響など、多くのことを教えて頂きました。
そのときは『再生可能エネルギー』ではなく、『放射線を何とかしたい。』と考えていて、当時医工学にも関心があったことから、その分野を勉強して、放射線で苦しむ人たちを救ってあげたい!と考えることもありました。
でも、自分の中で、しっくりこなくて。」

〔写真:診療所でお世話になった安藤先生(写真右)〕
———自分の中で、なにか違和感を感じたんですね。
「はい。その正体に気づいたのが、いわき駅前の原発反対デモを見たときです。僕も脱原発派だったのですが、僕は今まで、『原発反対!』というだけで、具体的に『原子力に代わるエネルギー発電って、何だろう。』と自分で考えることなかったことに気づきました。僕は今まで具体的な提案をせず、反対しかしていなかった…。『このままじゃダメだ!』と思った瞬間でした。このことがきっかけで、『原子力に代わるエネルギーとは何か』について考え始めました。」
———“地産地消型発電”の開発に興味があるとのことでしたが、『再生可能エネルギー』と『地域』が結びついたきっかけは何でしたか?
「当時通っていた高校から50mくらいのところに“茨城製作所”というところがありました。小水力発電機『Cappa』を製作し、ネパールをはじめとする後進国に設置する活動を行っていて、そこを企業訪問した際に、社長の方と『世界と日本のエネルギー事情』について対話をする機会がありました。その際の『これからは中央集権的ではなく、地方分散型な発電方法が日本にはあっている。』という言葉が今でも印象に残っています。
実際、2018年の夏に北海道で地震が起こり、道内で大規模の停電がありました。これは火力発電や原子力発電など、局所的に大規模に発電を行う“中央集権型の発電”だったことが災いしていました。もし、これが中央集権型でなく、全域的に小規模に発電する“地方分散型”つまり“地産地消型”であったら、規模は少なくできたかもしれません。日本は再生可能エネルギーを利用した地方分散型の発電を迫られていると感じました。
しかし、日本は資源に乏しい国です。現在、海外にエネルギー資源を依存しています。原発事故以来、依存率は約90%だそうです。それゆえ、整備するのに必要な資源(レアメタルなど)が不足している日本は、いまだに地方分散型にシフトできずにいます。
でもぼくは、地産地消型発電を日本で進めたいと思っています。中央集権型発電にかわる新たな発電方法、且つ日本でできることを具体的に提案することが、今後叶えたい目標のひとつです。」
【Ⅲ.「縁を大切に。」生きる。】

——佐藤さんの生き方のキーワード「縁を大切に。」について教えてください。
「本や新聞などから得られる“知識”だけでなく、人と出会うことで得られる“経験”を大切にしていきたいです。今の自分があるのも、ご縁があったおかげなので。とくに診療所の先生には、放射線に関する知識のほかにも、脱原発の署名活動などに参加させて頂きました。人前に出ること・大人の人と積極的にかかわることを教えてくれた先生です。」
——そのほか、自分を表すキーワードを三つお伺いしていました。こちらは、「世界・仲間。私」でしたが、理由をお聞きしたいです。
「これは、僕の“優先順位”です。まず世界に目を向けて、次に仲間、最後に自分というように、世界(=社会)のためになるようなことを常に考えて行動したいと思っています。」
【Ⅳ.人生の点数】
———今までの自分の人生に点数をつけるなら、何点ですか。
「そうですね…。80点ですかね!今までの、というよりは今の自分の点数です!行きたい大学に進学して、やりたかった『エネルギー』についての勉強も、サークル活動も充実していて…、本当に毎日が楽しいです!」

〔写真:弘前大学サイクリング部で軍馬平へ〕

〔写真:HLS弘前でのイベント『パラレルキャリアについて学ぶ』〕
———残りの20点は、なぜですか?
「勉強もできて、やりたいこともできています。でも、僕の叶えたい目標である『地産地消型発電の開発・普及とまちづくり』に対する、具体的に計画する能力・提案する能力・経験が、僕にはまだありません。これからの大学生活で、エネルギーについての“知識”を得る中、その他の分野でもいろんな人たちに出会い、多くの“経験”を積んで、その力を身に着けていきたいです!あとの20点を埋めることが、僕の大学生活の意義なのかなと考えています。」
———残りの20点。きっと埋めることができると思います。自分の目標に目指して頑張ってください!貴重なお話ありがとうございました!
「いえいえ!こちらこそ、ありがとうございました!」
Humans No.001
佐藤一輝(さとう かずき)さん。
弘前大学理工学部自然エネルギー学科1年。福島県いわき市出身で、大学進学に伴い、弘前市へ。将来の目標である「地産地消型発電の開発・普及とまちづくり」にむかって、大学では再生可能エネルギーや放射線について学んでいる。現在は弘前大学サイクリング部・学生委員会いしてまいに所属している。生き方のキーワードは「縁を大切に。」
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